厳しい暑さが続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
作家の市川詩織です。
今月7月24日より、神宮前のTAKU SOMETANI GALLERYさんにて、個展「supernatural friendship」を開催いたします。
今回の展覧会のメインビジュアルになっている鳩の作品は、小さな作品ばかり作っている自分としては珍しい60号の作品です。
いつも机に向かっての作業だったので、立ちながら絵を描くというのが新鮮で面白くもありました。
展示作品の一部です↓
展覧会情報
supernatural friendship
2024.7.24. wed - 8.10. sat.
13:00-19:00
※月曜日は休廊
(〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2-10-1
サンデシカビル1階
TEL:050-5532-6058)
以下が展覧会のステートメントです。
展覧会ステートメント:
ある日、目の前を鳩が歩いていた。無防備にこちらに背を向け、右へ左へ、思うがままに。時間が差し迫っていたので、後ろからズンズン進んで行ったら、ハトはちょっとビクッとして、ハラハラした様子で、「な、な、なんだよもう!」と近くの民家の敷地に逃げ込んだ。なんだか混んだ駅で人に押される時の私のようだな、と思った。途端に申し訳なくなって、ごめんね、悪かったね、と振り返って視線を送ると、「ありゃなんだったんだ…」と息を整えているように見えた。私は申し訳ない気持ちでそのままそこを去った。私は、あのハトと仲直りをしたかった。
動物はそれぞれ、人間の見え方とは違う世界をもっているから、そこで起きた事は私の空想でしかないのだろう。しかし、人間の科学というものは、常に通説をひっくり返して進んできたものだから、いつ、「あ、鳩や猫や犬は、大体人間と同じ感じで世界を見てます。(ちなみにそのハトは、今でもあなたを覚えているのです。)」と言われるかわからない。その時、私はどうやって彼らと仲直りをしたらいいのだろうか。
私の空想癖は子供の頃から変わらず、この世界のものに全てそのような期待をしている。強い風にしなる葉は息がよく吸えなくて、息切れをしているかもしれないし、玄関で今朝会って顔を上げてこちらを見たように見えた蜘蛛は実はもう3日何も飲み食いしていなくて、人間を刺激しないようにさりげなく「ところで、水場はどこでしたかね」と紳士的に話しかけていた可能性を、捨てきれない。だから、そんな時がやってきた時のために、最近は絵を描いて、どうにかして、好意的な姿勢を伝える準備をしている感がある。私は、まだ何も分かり合えていない彼らと、いつか友達になりたいのだ。
友達になる方法とは、有意義なコミュニケーションとは、どんなものだろうと考えることがよくあります。
真面目な話をするにも、まず肩の力を抜いて、一笑してから始まる会話が私は好きです。それをするために、自分の価値観が通用しない生き物との遭遇、体験が不可欠だなと私は思っています。自分の常識が通用しない彼らに対峙したとき、どんな意見を持ってても良いし、どんな価値観で生きてても良いからです。
誰が好きでも良いし、性別も、人種も宗教も関係なく、多くの立場の人たちが私の変な絵に「あれはなんだ」と首を傾げながら集まって、一笑し、あーでもないこうでもないと話を始めてくれたら、そりゃあもうサイコーですね。
とてもとても暑い季節の展示なのですが!よかったら作品を見にきてください。
ではまた!
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