急に秋らしい気候がやってきて、準備運動ができていない体が驚いています。
みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
さて、黒田純平さんにお誘いいただき、高瀬栞菜さん、谷口典央さんとの3人展「Come Across a Passage」に参加するはこびとなりましたので、お知らせいたします。
久々のグループ展、そして、初めての関西での展覧会なので、とてもそわそわ、わくわくしています。
素敵な作家さんとこうして空間を共にするきっかけをいただき、この素晴らしい企画にお誘いいただいた黒田さんに心から感謝しています。
関西にお住まいのみなさん、ちょうど秋の京都を堪能しにいらっしゃているみなさん、ぜひ足をお運びください。
この記事では、展覧会の概要と、展示予定の新作について軽く触れています。
ではまず、展覧会の概要です。
企画展「Come Across a Passage」
この度、haku kyotoでは市川詩織、高瀬栞菜、谷口典央の3人展「Come Across a Passage」を開催いたします。
本展では、絵画が持つ「物語性」に焦点を当て、それぞれの作家が描く独自の物語世界を深く探求します。物語とは、単なる出来事の羅列ではなく、そこに込められた感情や思想、そして観る者の想像力を刺激する力を持つものです。作家たちは、それぞれの作品に独自の物語を紡ぎ、鑑賞者の心に新たな世界観を提示します。
市川詩織は、身近な生き物の姿を版画や絵画で表現し、客観的な視点から新たな物語を紡ぎます。
高瀬栞菜は、自身の経験を基に、動物や植物、モノなどのモチーフに置き換えて物語性のある絵画を描きます。また近作として陶芸の作品も制作し、表現の幅を広げています。
谷口典央は近年「タイムトラベル」をテーマとし、木板を彫って着彩する技法を用いて、時空を超えた世界を探求しています。
これらの「ストーリー性」を掛け合わせた作品郡と向き合い、それぞれの物語を読み解く中で、鑑賞者は自分自身の人生や感情を深く見つめ直すことができるでしょう。そして、作品の中に描かれた物語が、観る者の心に共鳴し、豊かな感情体験をもたらすはずです。
タイトルの「Come Across a Passage」は、「一節に出会う」という意味を持ちます。描かれた作品たちの「一節」を通して、鑑賞者が各作品のコンセプトの深層へと誘われ、新たな発見や感動を体験する場となることを願っています。
本展が、作品と鑑賞者の間に深いつながりを生み出し、豊かな想像力を生み出すきっかけとなることを願っています。
文章:黒田純平
■Info
"Come Across a Passage."
市川詩織 / 高瀬栞菜 / 谷口典央
2024.11.15. - 12.1 / 金土日 1-7pm
〒600-8032
0755855959
月 水 木はスタッフ不在ですが、自由にご覧いただけます。不在時にご用のお客様は2F @haku_hairスタッフ、またはDMにてお問い合わせください。
作品についてのお問い合わせは
haku.kyoto.japan@gmail.comまで
■Artist
■市川詩織 @sshiori_ichikawaa
埼玉県生まれ。
東京藝術大学 版画第一研究室 2018年卒。
人とその他の生き物の間にある妙な関係を嘘と事実を交えながら描き、安易にアーカイブ化することで、人間の常識の危うさについて考えています。
「supernatural friendship」(TAKU SOMETANI GALLERY、東京、2024)
「news ca(s)t」(s+arts、東京、2023)
「石の下の倫理」(Gallery Soumei-do、東京、2023)
■高瀬栞菜 @takasekanna21
2020年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程修了。近年の個展に、「ほしにためいき」(イムラアートギャラリー、京都、2023)、「へたなくちぶえがきこえる」(SHUTL、東京、2024)。これまで参加したグループ展に「変/心」(TENSHADAI、京都、2022)、「道端のボトルメール」(COHJU、京都、2024)、「Emotional Garden」(Mozuku Gallery、台湾、2024)などがある。
■谷口典央 @noriotaniguchi33
1988年福岡県生まれ。2020年東京藝術大学 修士課程 版画第2研究室 修了。
谷口典央は、過去・未来・時間をテーマとし描く画面の中の人や動物、風景などに物語を見い出し油絵や版画、木の板を彫り描いていく版木を用いて、描くことへの深い追求の中で独特な世界観を描いています。
新作について
今回は初の関西での展示ということもあり、過去作も含めての展示となりますが、出来立てほやほやの版画があるので、ついでにそのお話をしようかなと思います。
ヘビと私の話
日が落ちた帰り道、街灯の少ない道を歩いていると、ごみ捨て場に目がとまった。
私は夜になるとあまり目が見えなくなるので、グッと眉間に力を入れて目を凝らす。それは白っぽい長いもので、私はビクッと飛び上がった。ヘビだ!
ヘビは怖いが、美しい。ちゃんと近くで見たいと思って、ゆっくり近づくと、今度は笑いが溢れた。それはゴミを守るネットについたロープだった。少し残念な気持ち。
本物の野生のヘビを見たのは、何年も前だ。ヘビがこの土地にまだ住んでいたとしたら、彼らも仲間を見つけた喜びに舞い上がり、そして落胆するだろうか。
帰り道にヘビとロープを見間違えた日、メモをとり、そこから制作に至った版画です。友達だと思って声をかけようとしたら、似ている人だったということはよくありますが、これって人間だけのものなんでしょうか。ヘビに似ているもの、猫に似ているもの、人にみえたもの。いちいちビクッと跳ね上がる体。理性で動いているようで、それを勘違いする時って自分が少し野生的な生き物に感じます。そして、それが嬉しかったりします。
この世界の全ては、遡れば結局本能的な、原始的な感覚の延長であると言われている気がして、少し安心するのです。ヘビも驚くかな。と思いながら、私はとても幸せでした。
次の更新は、この企画展のお礼の記事を書いた後、来年の2月の個展に合わせて1月中旬あたりになるかなと思います。そちらの展覧会も良いものになるよう、準備を進めていきます。
インスタグラム、スレッズが一番更新率の高い媒体になりますので、よければぜひフォローしてください。
さて、これからどんどん寒くなるかと思いますので、みなさんどうかお元気で。
ではまたどこかで!
市川詩織
Comments